※目次
こちらの映画は、実在したアメリカの悪名高きギャング・ジェームズ”ホワイティ”バルジャー(通称・ジミー)の半生を描いたバイオレンス作品となっております。
主人公のバルジャーを演じるは、ジョニー・デップ。リアルに表現する事を意識する彼は、今作でもお得意の変装を披露します。頭には薄毛のカツラを使用し、顔には数時間かけてメイクを入れる事によってまるで顔面凶器のような仕上がりとなり、作中でもバルジャーの冷徹さや狡猾さがリアルに表現されておりました。
また、ケヴィン・ベーコンやジョエル・エドガートンといった個性派俳優が共演している事もあり、物語が非常に濃い内容で構成されております。一時期低迷していたジョニー・デップを再びスターダムへと押し上げたこちらの映画を是非ご覧になってみて下さい。
<個人評価点>
満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆星8
<記事読了時間>
約5分
※1部ネタバレ有り
忠誠心
暗い取調室でジミー(ジョニー・デップ)とジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)という2人の男について尋問を受けている人間達がいました。一体、彼らは何者なのか?その尋問内容とは、ジミーがこれまで行ってきた悪行とそれに協力していたコノリーについてでした。そして、彼らの証言から物語の全てが始まるのです。
時にして、1975年の南ボストン。尋問を受けている人間達は、ジミーがリーダーだったウィンター・ヒル・ギャングと呼ばれるグループの元メンバーでした。当時のボストンでは、イタリアンマフィア(アンジェロ・ファミリー)がボストンを牛耳っておりアイルランド系ギャングであるジミー一派は、その影響力に悩まされていた小規模な集まりの1つでしかありませんでした。
ところがジミーには、地元ボストンの衆議院議員である実弟ビリー・バルジャー(ベネディクト・カンバーバッチ)とFBI長官であるコノリーという男と幼い頃から深い絆で結ばれておりました。そして、彼らが最も大切にするモノが決して人を裏切ったりしないという忠誠心だったのです。
幼馴染の頼み
当時のFBI内では、イタリアンマフィアの壊滅運動が活発化しておりました。しかし、いつになっても壊滅させる為の有益な情報が転がってきません。そこで、コノリーは自身の出世欲もあってか幼馴染であるジミーを使ってイタリアンマフィア壊滅に向けての有益な情報を得ようと画策し、上官であるチャールズ・マグワイア(ケヴィン・ベーコン)に提案します。そして、その提案に戸惑いを示すマグワイアを強引に説得します。
その後、ジミーの実弟であるビリーと接触し、ジミーへの取次を依頼します。始めは自分が衆議院議員という立場もあって断ったビリーでしたが、幼馴染の頼みを邪険にする事も出来ず渋々ジミーにコノリーとの一件を話します。そして「2分間だけ会話する」という条件でジミーは、コノリーと接触しました。
コノリーは、ジョンに「アンジェロ・ファミリー壊滅に向けてその内通者となって情報を横流ししてくれ!その見返りとして殺し以外の犯罪は見逃す!」と話します。始めは難色を示したジミーでしたが「アンジェロ・ファミリー壊滅は、お互いにとって有益であるはずだ!」と説得され、これを承諾します。悪の取引がなされた瞬間でした。
心の拠り所
コノリーと取引をした後のジミーは、好き勝手やりたい放題となり弱小だった勢力を急速に拡大させ、やがてはボストン1の犯罪王とまで呼ばれるようになります。また、最愛の息子をライ病で失ってしまうといったアクシデントにも見舞われ、心の拠り所としていた1つを奪われたジミーの心は、次第に荒んでいきます。
そんな中、FBI内では全くアンジェロ・ファミリー壊滅への進展がありません。ジミーからの有益な情報も流れてきません。そこで痺れを切らしたマグワイアは「2週間時間をやる!このまま何もなければ役立たずのジミーと関係を切る!」とコノリーに言いました。焦ったコノリーは、ジミーに取引破綻をちらつかせ情報を要求します。すると、ジミーの方からアンジェロ・ファミリー壊滅に向けての有益な情報(麻薬・賭博・売春を自供したテープ)が横流しされ、これが決定的となりアンジェロ・ファミリーは壊滅する事となります。
「ほれ、みたことか!」と得意気になってマグワイアを結果で黙らしたコノリーは、その功績で出世し、職場では英雄扱いされます。その一方で最愛の息子に続き最愛の母まで病死で失ったジミーの心は、荒み切ってしまいます。ちょうどこの頃くらいから禁断の殺しを行うようになってしまうのです。
殺人鬼
その始まりが自身が手掛ける違法ビジネスの事業拡大のために邪魔なキャラハンという要人を手下に殺させてしまった時からです。この時、その口止め料として手下のブライアンという男に大金を渡します。しかし、ブライアンはキャラハン殺害の報道を見て怖くなり出頭してしまいます。ただ、コノリーがジミーを守ろうと奮闘してくれたおかげでこの場は収まったのですが・・・。
ジミーは、裏切り者のブライアンを許せずに自らの手で殺害してしまいます。これは、忠誠心を最も大事にするジミーの性格の現れでもありました。続いて、片腕のスティーブンが再婚した妻の連れ子と浮気し、他言してはいけない機密情報をうっかり漏らしてしまった事でその連れ子も自らの手で首を絞めて殺害してしまいます。完全なる殺人鬼と化したジミー。それを必死でFBI内で擁護するコノリー。ちょうどその頃、FBIにやり手の検事が就任してきます。彼は、就任早々に「何故、犯罪者のジミーを逮捕しないんだ?」とコノリーに詰め寄ってきます。
すでにFBI内では、数々の殺しはジミーによるモノであると拡散されていたのです。マグワイアもジミーに今までいい様に使われてきた事に腹を立て怒り狂います。もはや、コノリーがいくらジミーを擁護しようとしても無駄な状況となっていたのです。そして、ジミーとの関係を嫌っていた妻にも愛想をつかされたコノリー。頼みの衆議院議員であるビリーに助けを求めるも拒否されてしまいます。そんな中、ジミーはまたもや裏切り者を殺害してしまいます。もう無茶苦茶でした。
そして、FBI内での唯一の協力者であったモリスという男がついに我慢が出来ず、ジミーとコノリーの今まで行っていた悪事を暴露してしまう事となるのです。
※ジョニー・デップ映画の前記事
※ケヴィン・ベーコン映画の前記事