※目次
ビートたけしさんの映画ってヤクザをメインとしたバイオレンス映画が多いようなイメージがありますが、こちらの作品はそんなイメージのたけし映画を払拭するような爆笑物語となっております。
この映画と出会ったのは、テレビ番組の「金曜ロードショー」でした。
始まりはたけし映画特有のダウン系で物語が進行していきますので、私も最初はあぐらをかきながらぼーっと見ておりました。しかし、物語が進むにつれあぐらで臨んでいたモノが突如まえかがみになってしまう程、面白くなり気付けば笑ってばかりいたような印象が残ります。
この映画の1番の見どころは「芸術家は一瞬の閃きが重要である」事を前提に、売れないダメ画家であるビートたけしが自ら色んなシチュエーションを作り出して絵を書いていく姿にあると私は思います。ただはっきりいって最低な自己中オヤジです(笑)さぁ、貴方もたけしワールドを是非堪能しちゃって下さい( ゚Д゚)
<個人評価点>
満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆星9
<記事読了時間>
約4分
※1部ネタバレ有り
壮絶な過去と幸子との出会い
小さい頃から絵を描くことが好きだった少年・真知寿(ビートたけし)は、地元で有数の養蚕事業を営む倉持利助(中尾彬)を父に持ち比較的裕福な家庭の家で育ちました。しかし利助が新規事業に失敗した事で会社が倒産し、それが原因で利助は自殺してしまいます。
その後、真知寿は叔父の倉持富輔(大杉漣)の元へ引き取られ、しばらくしてから母親も自殺してしまうのでした。そして、実の母親の死に顔を壁に描いた真知寿を見て富輔は不謹慎で気持ち悪い人間と思い、家から追い出してしまいます。
両親を亡くし叔父にも家を追い出されてしまった真知寿は、自身の生活と絵を描く為、新聞配達や工場勤務を転々とし働く事となります。ただ、相変わらず絵を描くことが好きであった為、度々自分の描いた絵を画商に見せるモノの酷評される一方で売れる事がありませんでした。しかし、そんな真知寿の絵を唯一認めてくれたのが現妻である幸子(麻生久美子)でした。
幸子と結婚・娘マリを風俗に売る最低なオヤジ
幸子と意気投合した真知寿は、そのまま幸子と結婚しその間に娘のマリを授かる事となります。そしてお互い中年になっても売れない画家として活動していくのでした。
そんな両親の考えに全く理解できないマリは、次第に非行を重ねていき3人の生活も貧しくなる一方でした。肝心の絵も幾度に渡って画商に売り込みを掛けますが、全ての作品が有名画家の物まねだと酷評される有様でした。しかし、何度酷評されても画家を諦めない真知寿。
やがて、絵を描く為に必要な道具を買うお金ですら無くなってしまい幸子に黙って娘のマリを風俗店で働かせ、その給料で道具を買うといった最低なオヤジにまで落ちてしまうのでした。
警察に連行される真知寿と芸術への暴走
画商に認められずとも己で道を切り開こうとする真知寿の行動が次第にエスカレートし始め、商店街のシャッターに勝手に絵を描いてしまう事にまで発展し、警察に連行されてしまいます。
それを知ったマリは、どうしようもない阿保オヤジに見切りを付け家出してしまいます。夫の警察沙汰娘の家出とそんな状況下におかれても幸子だけは、夫の元を離れなかったのです。ただ、精神的に病んでいたのは間違いありません。
しかし、暴走と化した真知寿の奇行はさらに酷くなっていきます。芸術の天啓を求め「自転車から転んでの閃き」「車に轢かれてみての閃き」とチャレンジしていく真知寿とそれに付き合わされる幸子でしたが、事態は全く好転しませんでした。
マリの死
そんな生活を続けしばらく経ったある日、娘のマリが急死してしまいます。娘の急死を知って嘆き悲しむ母・幸子とただぼーっとしている最低オヤジの真知寿。
2人は、娘の死体が置かれている安置所に向かいました。そこで亡き崩れる幸子をよそに真知寿は、また奇行に走ってしまいます。なんと死んだ娘の顔に口紅を塗り、化粧を直し自分の絵の作品にしようとしたのです。
このあまりにも非道な夫の行いを見て、今まで心の奥底に封印していたモノが一気に溢れ出した幸子。ついに、ここで幸子が離婚を決意したのでした。
この後、2人は一体どうなってしまうのか?
とにかくたけしと幸子が芸術の天啓を追っている暴走シーンが、めちゃくちゃ面白かったです。特に「自転車での場面」「車に轢かれた場面」「風呂での場面」です。それと最低オヤジのイメージが強いですが、あくまで映画なので広い心で見て下さい。ただ、これを現実でされたら笑えないですけどね( ゚Д゚)
ビートたけしの主な代表作
ソナチネ
HANA-BI
BROTHER
座頭市
アウトレイジシリーズ 等