※目次
こちらの映画は、小説家・東野圭吾のベストセラー小説を巨匠・堤幸彦監督が実写化した作品となっております。主演は、ベテラン俳優の江口洋介。また、共演には仲間由紀恵・綾野剛・柄本明・竹中直人・本木雅弘らといった豪華な顔触れとなっております。
概要としては・・・。
愛知県小牧市にある錦重工業株式会社が製造した新型の無人操縦軍用ヘリ「ビッグB」が「天空の蜂」と名乗るテロリスト組織に奪われ、福井県敦賀市にある原子力発電所内の「新陽」と呼ばれる原子炉の上空へとコントローラーで遠隔操作され、天空の蜂から犯行声明を受けた事から始まります。その犯行声明とは「日本国内にある新陽以外の全ての原子炉を破棄せよ!もし、新陽を停止させようモノならその時点でビッグBを墜落させる」といったモノでした。仮に、ビッグBを新陽に墜落させてしまったとしたら福井県から半径250km圏内全てが放射能で汚染されてしまう為、日本国民の生死を掛けた手に汗握る激しい心理戦と駆け引きが繰り広げられる事となるのです。
映画の感想としては、日本映画としては珍しいハリウッド並のスケールを感じさせる題材ではありますが、やはり本場とは違って少し物足りなさを覚えるかもしれません。しかし、ビッグBに取り残された息子を助けだすシーンと柄本明演じる室伏刑事の後輩・関根刑事の殉職シーン等は、迫力があり良く出来ていたと思います。
<個人評価点>
満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆星8
<記事読了時間>
約5分
※1部ネタバレ有り
ビッグB
1995年の8月8日は、愛知県小牧市にある錦重工業株式会社小牧工場において5年の歳月を費やして製造した「ビッグB」の納入式が行われる日でした。そして、製造ばかり優先して家庭内を顧みなかったビッグB開発責任者の湯原一彰(江口洋介)は、自分の功績を見てもらいたくて妻・篤子と息子・高彦を納入式に参加させました。
しかし、湯原の家庭内は崩壊寸前で篤子は息子の高彦を連れて別居する予定でした。そんな中、湯原の同僚・山下も息子の恵太を連れてきており、納入式で忙しい父親2人をよそに高彦と恵太は会ってはすぐ意気投合し、ビッグBを生で見たい高彦は親の目を盗んで恵太と一緒に暗い倉庫へと潜入したのでした。
そして、倉庫に潜入した高彦と恵太の前に広がる豪快なビッグBにとても興奮してしまい興味に惹かれた2人は、後部にあるハッチへと乗り込んでしまったのです。すると、突如ビッグBが動き始めてしまいます。嫌な予感がした高彦は、恵太を先に下ろしますが自分は間に合わず、そのままビッグB内に取り残されてしまいます。また、ビッグBの異変に気付いた湯原も急いで倉庫へと駆け付けますが高彦救出には間に合わず、ビッグBは高彦を乗せたまま飛び立ってしまったのでした。
天空の蜂
高彦を乗せたビッグBは、そのまま福井県敦賀市にある原子力発電所へと向かい、「新陽」と呼ばれる原子炉の上空でホバリングを開始します。その後、原子力発電所内に1通のファックスが届いたのでした。そのファックスには「天空の蜂」と自称するテロリスト組織からの犯行声明と要求が記されておりました。また、マスコミにもファックスがされていた為、事件は公になってしまったのです。
「ビッグBは、新陽の上空でホバリングし続けるので時間が経てば燃料切れを起こし自動墜落する。また、大量の爆発物も搭載している」と。また「危機を回避する方法はただ1つ。新陽以外の日本国内にある原子炉を全て破棄せよ!もし、新陽を停止させようモノならその時点でビッグBを墜落させる。ビッグBの燃料切れまでは最短で8時間だ!」と告げられます。
現場内は、騒然としました。また、何故ビッグBが盗まれたのかを開発責任者である湯原が説明しました。「ビッグBには自動航空制御システムなるモノが導入されており、電気信号でプログラムさえ指示出来れば誰でも無人で操作が出来る」と。
モールス信号
天空の蜂のテロ行為によって原子炉核燃料開発事業団の筒井(石橋蓮司)と原子力発電所の所長である中塚(國村準)は、発電所内に緊急対策本部を設置しビッグBの開発責任者である湯原と原子炉設計部門に携わっていた三島(本木雅弘)が招集されます。また、警察庁長官である芦田(竹中直人)は「犯人の要求に応える事は出来ない」とした為、緊急対策本部内ではもしビッグBが落とされた事も考えて湯原による「分厚い壁に覆われた格納容器内に逃げ込む」といった提案もなされるが現実味が薄く先が見えてこない為、事態は進展していきません。
一方、天空の蜂と名乗る組織はメディアを通してビッグBに1人の少年が取り残されている事を知ります。これは、天空の蜂にとって計算外でした。なので、天空の蜂は再びファックスを流す事となります。その2回目のファックスとは「救出方法をメディアに発表せよ!ビッグBに乗り込んでの救出は認めない。1機のヘリのみを使用して救出せよ!また、原発を停止する際にはテレビ局スタッフを同席させ生中継させよ!」といった内容でした。原発を破棄から停止に変えたのは、天空の蜂も本来の目的と関係が無い高彦を除去して、一刻も早く本題の要求へと戻りたかったからでした。
そして、天空の蜂の要求に応え北日本電力の柏木原発・一号機から停止が始まり、すぐさま自衛隊が出動して高彦の救出へと向かいます。また、小牧工場から「三日程前にあった洗濯機程の大きさがある木箱が紛失している」と伝えられます。直感でそれが爆発物でありビッグBに搭載された物に間違いないと感じた対策本部は、高彦の救出と同時にその木箱が搭載されているかの確認を急ぎます。
そんな中、ビッグBの真下にまで来た湯原はそこで妻の篤子から「高彦は、父に内緒でモールス信号を勉強していた」と伝えられ、湯原は高彦にモールス信号を送ります。すると、高彦から「木箱がある」と返答が返ってきたのでした。その後、高彦は難航を極めた上空の救出で自衛隊員の懸命な救助のおかげで地上に降り立つ事に成功します。
殉職
その頃、緊急対策本部外では「天空の蜂は原発関係者ではないか」との見解で捜査に回っていた地元・福井県県警の室伏刑事(柄本明)と若手の関根刑事が地道の捜査の甲斐あって徐々に天空の蜂と名乗る人物の所まで近づいておりました。それは、以前新陽で働いていた田辺佳之という人物が白血病によって27歳という若さで死亡している事が発覚し、その母から聞いた佳之のラジコンの師匠・雑賀勲(綾野剛)という男を怪しいと感じて彼に近づいた事にありました。
そして、雑賀が住んでいるとされるアパートへと向かった室伏と関根はそこで同じく雑賀が怪しいと感じた自衛官達と出会い、共同で雑賀の家を訪問します、すると、突然激しい爆発音と共に部屋が吹き飛び、その衝撃で室伏が重傷を負ってしまいます。アパートの裏で監視していた関根は、窓から抜け出してきた雑賀を発見し捕らえようとしますが、腹を包丁で刺されてしまうのでした。それを見た室伏が力を振り絞って「関根ーーー!」と叫び、力尽きて倒れ込んでしまいます。
しかし、正義感溢れる関根は諦めませんでした。腹を刺されても雑賀の手と自分の手に手錠をかけ逃がさないようにします。この抵抗に苛立った雑賀は、さらに関根を複数回刺しこのダメージで関根は殉職してしまうのでした。その後、雑賀は手錠を掛けられたままの状態なので関根を引きずって歩かなければならなくなり、そこで雑賀は「うがぁぁぁ!」と大きなを奇声を上げ自分の親指を切断し手錠を外しました。ですが、雑賀を覆う包囲網が既に敷かれていた為、逃げるのを諦めた雑賀は走ってきたトラックに飛び込んで自殺してまいます。また、持っていたビッグBの操作に使ったとされるコントローラーもトラックによって粉々になってしまうのでした。
対策本部内では、湯原と三島との意見が一致しない上にコントローラーが粉々になった事で制御不能となったビッグB。そこで、湯原は臨時のコントローラーの組み立てに取り掛かります。しかし、この事件の犯人は雑賀だけではなかったのです。爆発物が搭載されているとされる木箱の搬出入に携わっていた錦重工業株式会社・事務員の赤嶺淳子(仲間由紀恵)と彼女を操り雑賀と共謀していたもう1人の男とは一体誰なのか?また彼らは何故ビッグBを盗んでまで原発の破棄を要求したのか?それには、もう1人の男の辛い過去が関係しておりました。
続きは、観てのお楽しみです( ゚Д゚)
※江口洋介映画の前記事