※目次
乱世の始まり篇・・・。
第16話 鹿を指して馬と為す
※胡亥(三国志では、曹丕役)
陳勝や呉広を始め、項羽や劉邦と各地で秦打倒の反乱が相次いだ事によって秦の都・咸陽(かんよう)では、相次ぐ敗戦の報せで対応に追われる事となります。しかし、宦官の趙高(ちょうこう)は秦のピンチであるにも関わらず皇帝である胡亥(こがい)には「小規模の盗賊共の反乱ですぐに鎮圧出来ます」と虚偽の報告を続けるのでした。
さらに趙高は、皇帝に真実を告げた者を処罰する、何か言伝があればまず先に自分(趙高)に報告する事を周囲に告げ、独断で取り決めました。また、宮中で趙高に忠誠を誓う人間と誓わない人間とを判別する為にその場に大臣達を集め、鹿を使ってある事を実験しました。
趙高は、鹿を指して「あれは、馬であるよな?」と周囲に問いかけたのです。突然の趙高の言葉に騒然とする大臣達。そして、趙高を恐れる人間は馬と答え、恐れない人間は鹿と答えました。結果、鹿と答えた人間は虚偽の報告をする人間と見なされ、斬首の刑に処されたのです。後にこの事から「馬鹿」という語源が生まれたのでした。
第17話 李丞相の最後
※李斯(三国志では、荀彧役)
宦官の趙高による専横を憂う1人の人物がおりました。それは、趙高の計画に強引に乗せられ共に胡亥を皇帝に擁立した丞相の李斯(りし)です。彼は、自分の犯した罪を深く後悔しておりました。ただ、強大になり過ぎた趙高を止める術は、もはや李斯にはありません。
しかし、各地で反乱が相次ぐ現状と秦の功臣である李斯にとって秦国の未来が心配でなりません。そこで何としてでも胡亥に真実を伝えようと孤軍奮闘しますが、目の前に趙高が立ちはだかるのでした。趙高としては、李斯に真実を告げられてしまっては自分の立場が危うくなってしまうからです。
そこで趙高は、一計を用いて李斯を消してしまおうと画策します。それは、李斯が虚偽の報告をして宮中を攪乱させている、都でクーデターを起こすつもりだと胡亥に密告したのでした。やがて李斯は、懸命に胡亥に潔白を証明しようとしますが無駄に終わり、三族(自分、親、子、兄弟等)全て皆殺しにされてしまうのでした。
第18話 項羽大将軍
秦が急激に弱体化していく半面、項家の楚軍は日増しに勢力を拡大しておりました。また項羽の超人的能力は各地で大評判となり、新たに2人の豪傑が仲間に加わるのです。その2人とは、秦の追撃から逃れ江東に一大勢力を築いていた桓楚(かんそ)と元は秦の罪人で後に九江王となる英布でした。
そこで拡大していく自軍を見て叔父の項梁は、大将軍に項羽を任命します。この時、項羽の義兄弟であった鐘離眜(ショウリバツ)や季布は、臣下として改めて項羽に仕える事を決意したのでした。順風満帆かに思えた項羽。しかし・・・。
自らが愛する虞子期(ぐしき)の妹・虞姫(ぐき)の一族が楚軍の略奪に遭って両親が殺されてしまうのでした。また、虞子期も行方不明になってしまいます。予期せぬ展開に言葉を失う項羽でしたが「必ず親の仇を見つけ出してこの手で復讐する事を誓う!」と虞姫に約束し、その場に残された虞姫と虞姫の使用人を自軍に引き取ったのでした。
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